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第三者委員会設置:県医療センター
院内暴力か

2011.12.27掲載
県立精神医療センター 院内暴力か

入院患者が10か所骨折

新潟県病院局業務課では、新潟県立精神医療センター(長岡市寿、和知学院長)で本年7月
25日、30代の入院患者が原因不明の骨折をしたことについて、第三者委員会を設置。事態の
解明に乗り出す。
同事件については、同医療センターが本年9月に院長他3人によって院内で記者会見を行
い、事態の詳細を公表している。
公表によれば、入院患者の骨折は右肋骨が5本、左肋骨が4本あり、さらに他の部位にも骨
折があった。全身に10ヶ所もの骨折が、病院で気づいた時には自然治癒に近い状態であった
という。
 
骨折は自然治癒に近い状態

同院によると男性患者は平成13年に入院。本年7月25日、「お腹が痛い」との訴えがあったこ
とから、診察をしたところ、当該骨折などの症状が判明したものである。ただ、発見時よりもか
なり前の古い骨折のため、ほぼ自然治癒に近い状態になっており、判明時には骨折の治療は
不要の状態であったという。
 さらに同患者は、そのころ個室中心の治療体制であったことから、外部での骨折は考えられ
ないという。
院内暴力の可能性も十分にあることから、警察の捜査を依頼しながらも、同医療センターで調
査を行ってきた。しかし、身内による調査のためか、事態は解明されていない。

厳正な調査で再発防止を

新潟県病院局業務課は、事態解明が進まない現状に鑑みて、病院から独立した立場でより厳
正な調査を行い、再発防止策を考えるとした。そこで、第三者での調査員会を設立、事情調査
を行うことにしたもの。
同委員会のメンバーは、比護隆證氏(紫雲法律事務所・弁護士)、横内昭光氏(慈恵大学渉外
室顧問)、武井満氏(群馬県立精神医療センター院長)、吉浜文洋氏(神奈川県立保健福祉大
学教授)、井口正博氏(新潟県精神障がい者家族会連合会理事)の5人。調査期間は平成23
年12月?平成24年3月(予定)である。
すでに第1回委員会が12月18日、同医療センターで行われた。当日は5人の委員が同医療セ
ンター内を視察。その後講堂で、同患者負傷の経過についてと調査の進め方について会議を
行っている。

2回目の会合は未定では実効性に疑問も

ただ第2回委員会は実施することに決定しているが、時期については、未定である。
今後同医療センターの全職員を対象に文書や聞き取りで調査を行い、その調査の分析が出
てから、状況に応じて行うこととしている。事実が発覚(7月25日)してから2ヶ月近くもたって、
ようやく記者会見を開くなど実態解明への姿勢はあいまいである。さらに半年を経過しようとし
ている時期でも次回の会合も決めない状況では、事実関係を明確にできるのか、疑義の声も
ある。
同患者は、男性看護士3名に殴られたと訴えている。同事件は、院内暴力の可能性もある。
入院患者が10ヶ所も骨折する事態に、自然治癒するまで気づかなかったのも極めて異常であ
る。
精神医療ということで患者への対応がずさんではなかったのか。多くの疑問点が提起されてい
る事件である。

【事件の概要】
同院によれば男性患者は平成13年に入院。約10年経過する。本年7月25日、「お腹が痛い」と
の訴えがあったことから、診察をしたところ、当該骨折などの症状が判明したもの。ただ、発見
時よりもかなり前の古い骨折のため、ほぼ自然治癒に近い状態になっている。このため現在
では骨折の治療は不要の状態。
同患者は、最近では個室中心の治療体制であったことから、外部での骨折は考えられない。
骨折などの原因を問診したところ、殴られたとして看護士3名(いずれも男性)の名前が出た。
この内1名はすでに担当を代わっており、同患者との接点はなくなっている。このため、患者の
言葉をそのまま鵜呑みにもできず、信憑性の判断を含めて警察の捜査に任せている。
同センターは、精神医療の病院であるため、「入院患者を拘束衣で拘束することもある。その
ようななかで偶然に生じた可能性もある」としている。
しかし、入院患者の病変に気づかないのは異常事態である。同院では今回の異常事態の「原
因は判然としない」としている。原因が曖昧なばかりではなく、10ヶ所もの骨折が生じていなが
ら、自然治癒するまで、看護士も主治医も気づいていない。骨折から発見までどのくらいの時
間が経過したかも分からない。
骨折が医師の治療を受けないまま、自然治癒するにはかなりの時間が必要であろう。まさか1
日ではないであろう。そのような長い期間、入院患者の異常事態に気づかない。このような医
療体制こそが、異常事態である。
同センターの医療体制は患者を放置しているかにみえてしまうが、この点についても明確な説
明は無い。
同センターは、「患者さんの尊厳に敬意を払い、プライバシーの保護に最大限の配慮をします」
としている。「プライバシーの保護」が「放置」にならないよう、真相を追求し、今後の入院患者
の安全のために適切な措置が必要になっている。

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@第1回目の骨折10ヶ所以上事件発覚時の記事:2011.9.10掲載
A2011年に発生した暴力事件についての投書(2012.9.25掲載を2015.9.10再掲載
B第三者委員会設置:県医療センター2011.12.27掲載
C第三者調査委員会が報告書を公表(その1)2012.4.7掲載
D第三者調査委員会が報告書を公表(その2)2014.4.10掲載
E丸山新院長に聞く:2012.9.25
F新潟県立精神医療センターの暴力(2015.9.10報道)
GNo.130:新潟県立精神医療センターで暴力再発(2015.9.15)


 
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第三者調査委員会が報告書を公表(その1)
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