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愛縁奇縁:既往目次
No.147:TPPはプラスかマイナスか
背筋を伸ばした外交を期待

○TPPが論議されて久しい。だが関係国の国内事情が異なるのか。2015年10月のアトラン
タ閣僚会合で大筋合意にいたったものの、利害関係が複雑で交渉はなかなか進展していな
い。
しかもアメリカの大統領選挙の結果、次期大統領にはTPP反対を唱えるドナルド・トランプ氏が
当選した。トランプ氏は就任の日(来年1月20日)に、離脱を表明するとしている。
日本は熱心であるが、果たして今後はどうなるのか。与党は11月4日、衆議院で強行採決に
及んだが、手詰まり感は強い。

○TPPは「環太平洋戦略的経済連携協定」のこと。現在12ヶ国が参加している。12ヶ国はオー
ストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シ
ンガポール、米国、ベトナムである。
それぞれの国で設定していた関税を廃止。自由な貿易をさらに促進して経済発展を促そうとす
る。具体的には、アジア太平洋地域での貿易を自由化、投資ついても自由化をすすめるとい
う。そして輸出入に伴う関税の廃止(自由貿易)を目指している。

○TPPは国際間のビジネスを自由化することで、経済成長を目指すものである。
お互いに関税を無くするとしても、輸入と輸出が均等に一企業内にあるわけではない。輸出企
業にとって歓迎すべきことが、輸入企業にとっては反対のケースは多い。
たとえば農業面では輸出は多くない。その一方でコメなどが関税なしで入ってくれば、価格面で
の競合が厳しくなる。農家は大丈夫なのか。
一方戦略的な側面も危うい。新たな経済秩序を12ヶ国で構築。繁栄を目指すことを、たとえば
中国などは警戒している。一歩間違えれば新たな紛争の火種になりかねない。

○こうした利害関係は全ての国に共通であろう。
さらにグローバル化の進展が別の側面を生んでいる。たとえば国産品であっても、そのパーツ
は海外進出の日本企業製かもしれない。現在ではこのようなケースは多い。コスト対応策で海
外生産を拡充しても、国内にもってきたら関税がかかるのではつまらない。これがゼロになるT
PPは歓迎できる。

○日本では大企業のグローバル化は顕著である。大企業でTPP賛成が多いのはこのような
背景がある。だがそうなれば、中小企業(とくに下請企業)は単価の引き下げ要求に直面する
だろう。
海外展開が進んでいる産業と、そうでない産業の利害は異なっている。それぞれの国のTPP
への賛否は、このような一国の産業構造から影響を受けている。
米国も賛否両論がある。米国の自動車産業界は猛烈に反対している。軍需産業界は賛成な
のだろう。農業界も同じかもしれない。

○トランプ氏は選挙戦の最中から反対を唱えていた。国内重視からである。米国は多分離脱
する。そうなればTPPは瓦解する。その時、だれが困るのか。もっと大幅に儲けることができる
と期待した大企業は、きっとがっかりするだろう。だがそれだけだろう。
丁度いい機会である。日本ももう少し国内を重視して良い。
(黄色い風見鶏)


(黄色い風見鶏)

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No.146:内政の安定には価値がある
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