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愛縁奇縁
No.146:内政の安定には価値がある
難しさが増える時代

○自民党総裁の任期が事実上延長になる。来年3月の党大会で正式決定し、2期6年を3期9
年に改める。総理大臣の選任は、国会が行うから、国会での多数党の党首が総理になる。安
倍総理の時代はさらに続くことになる。
安倍総理は憲法の改正やTPPの実現を目指している。その実現のためにも任期延長が欲し
かったのだろう。一強の効果である。

○だが課題も大きい。まず日本銀行が目指したデフレ脱却は当面実現しそうにない。現状の
物価安は庶民にとって居心地が良いが、資本収益率向上を指向する大企業の思惑とは異な
る。
より一層収益を上げて資本効率を高めるためにも、インフレ指向は欠かせない。だがその分、
日常生活は切なくなる。
給与がさして上昇しない昨今では、デフレの現状は住みにくいわけではない。このことを政府
には評価して欲しいものであるが、立脚する政治地盤は異なる。

○アメリカではトランプ氏が次期大統領に決まった。トランプ氏の発言はきわどく、もし当選した
ら大変な混乱が起きると心配が高まっていた。品性に欠ける話も流布した。
だからクリントン氏の当選が確実視(あるいは期待)されていたが、メール問題はかなりの痛手
だったのでないか。第三者のチェックを経ることのない情報手段(この場合は私的メール)は、
国の要人には許されない。不起訴になったが、クリントン氏はつまらないことをしたものだ。

○おかげで日本は大急ぎでトランプ氏と意思疎通を図らなければならない。安倍首相は急遽
渡米して面談した(11月18日・日本時間)。
 在日米軍の費用負担やTPPなど、両国の課題はホットになった。もし、米軍が本当に引き上
げたら、安全保障に穴が開く。憲法改正や駆け付け警護を議論する場合も、選択肢は限られ
る。それを避けるためには駐留費用の負担増はもちろん防衛費も増額せざるを得ない。
アメリカ依存をやめるわけにはいかない。

○今は充足の時代である。需要を喚起するのは難しい。供給を増やすための投資にはリスク
が伴う。巨費を投じたシャープの液晶事業の例がある。だからこそコストの安い海外での生産
が必要になる。その製品を日本国内に持ってくるとき、TPPは効果があるのだろう。
ところがトランプ次期大統領は参加しないという。高度成長になれば、解決しやすい諸問題も、
これでは解決しにくい。両国の意思疎通が重要になってきた。

○来年春はベアの時期である。日本では社会保険料その他、庶民の負担増はおおむね4月
から始まる。だからこの時にベアが無いと、実質の手取りは減ることもある。
 安倍首相は4年連続になるベア要請を経団連など経営者団体に要求したという。庶民の給
与が増えれば国家が受け取る社会保険料の自然増収がある。もちろん所得税も増収する。増
税による総選挙への影響を避けることができる。

○トランプ氏のアメリカが何をするのか。明らかになっていくのはこれからである。日本は充足
した生活の中であるが、複雑さが増えている。
一方で内政には大きな混乱がない。一強との指摘があるが、混沌とした時代になるほど、内政
の安定は価値を増す。(黄色い風見鶏)



(黄色い風見鶏)

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No.145:新しい知事に米山隆一氏(48)
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