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米国のトランプ大統領が「真珠湾攻撃を忘れないぞ」と発言した。「日本が不意打ちを狙って卑
怯な攻撃をした」と解釈し、「あのとき卑怯なことをしたのだから今回の貿易では譲歩しろ」と迫 ったという。真実なのか▼対日貿易赤字に強い不満をもつトランプ大統領は、牛肉や自動車に ついての二国間協定に応じるよう安倍首相に迫った。その際に、先の言葉が出たという。真実 であれば正常なこととは言えない▼仮に真実であれば、その対話の際に日本側も「ヒロシマ・ ナガサキを忘れないぞ」と切り返しても構わなかっただろう。長岡市民も「リメンバー8月1日」と 声高に叫びたくもなろう。日頃から対米交渉に弱腰で、トランプ大統領に従順と指摘を受けて いる政府としては、具合が悪い▼これに対して「友情と国益は別だ」(石破茂)、「米国を怒らせ た」「戦略ミス」(田原総一朗)などのコメントが出ている。日米の蜜月関係にひびが入っている との指摘もある。「トランプ大統領にとって、今の安倍首相は頼み事が多いものの、欲しいもの を与えない人物」と映っているのか▼だが、ここは落ち着いてことの真実を見極めなければな らない。いたずらな言葉の応酬は問題をこじらすばかりであって益は少ない。先の言葉は、「貿 易においても攻撃的な姿勢で他国に臨むべき」と続くという。だがそれでも「大統領の主張を断 定的に否定すれば、プライドを傷つけてしまう」などの政府の見解は、いかにも日本的な危うい 対応に見える▼やはり言うべきことは言わねばならない。(とけいそう)
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