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悠久録(過去の悠久録はこちら)
長岡新聞・悠久録No.1141:閻魔様に舌を抜かれる

(7月12日分)

タチアオイがあちこちで咲いている。背が2bを超え3bにも達することもある。花は大柄で色
彩は赤、ピンク、白、紫、黄色など多彩な色合いで、見飽きない。街角や畑のなかに群生をみ
ると、盛夏が近いと思う。長岡では特に多いように感じる▼昔、祖母に連れられて訪れたお寺
を思い出す。そのお寺にもタチアオイが林立していた。今では郷愁を呼ぶ季節の花であるが、
同時に本堂に立つ恐ろしげな形相の仏様も目に浮かぶ。その仏様が怖かったものだ▼成人し
た今、改めて眺めれば、ごく普通の仏様である。当時、恐ろしげに見えたのはなぜだろう。そ
の仏様の前で、「嘘をついたら閻魔様に舌を抜かれるぞ」「無駄な殺生をすると地獄におちる
ぞ」などと脅かされたものだ。あの時の仏様はきっと閻魔様に違いない▼千蔵院(千手)の住
職である諸橋精光師は、その著『地獄極楽・絵本』で、人は死ぬと八つの地獄(等活、黒縄、衆
合、叫喚、大叫喚、焦熱、大焦熱、阿鼻)へ落ちると説明する。生前の罪に対し鬼の責め苦は
終わりがない。師はお得意の絵を描くことで地獄の恐ろしさを説く▼そのうえで、人間の心の中
には地獄だけでなく、正しく美しい心があると説く。だからその心を見つめて生きなさいという。
同著の最後には極楽のページがあり、亡者はいつの間にか皆小さな仏様になっている。そし
て大きな仏様の周りに集まり笑顔である▼忌まわしい事件が多い世相である。寝苦しい夜が
続くのであるが、諸橋師の指摘のように、正しく美しい心を見つめるときでもある。(とけいそう)



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