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愛縁奇縁
No.122:シャープが経営危機
「淘汰の波は容赦ない」


〇潟nードオフコーポレーション(新発田市新栄町、山本善政会長兼社長)が過去最高益を出
した(2015年3月期)。リユースをメインテーマに経営を展開。全国に700を超える店舗をも
つ同社は、業界のリーディングカンパニーである。環境への関心の高まりを先取りし、新たな
市場ニーズの開拓に成功した。

〇その一方で、シャープ梶i橋興三取締役社長)が厳しい状況にある。15年3月期に2223
億円の最終赤字を計上。前年同期の115億円の黒字から一転、大幅な赤字になった。
累損が重なっており、この解決のために1218億円の資本金を5億円に減資する一方で、主
力2行などが2250億円の資本支援を実施する。これにより累積損失を一掃するとしている。
支援出資額は、みずほ、三菱東京UFJが各1000億円、ジャパン・インダストリアル・ソリュー
ションズが250億円をそれぞれ優先株として出資する。

○シャープは12年と13年の各3月期に合計9000億円を超える赤字を計上した。種々対応し
た結果、昨年は黒字にこぎつけたのであるが、再度の大きな赤字である。対応策も効果がな
いことを露呈しており、体質の劣化は覆うべくもない。
しかもリストラとして、国内希望退職3500人を募る。人件費の圧縮を主体に固定費の節減を
図る考えである。だが希望退職は企業にとって欠くことのできない従業員の流出も誘う。ベテラ
ンの従業員はどのようにして確保するのだろうか。

〇同社ではこれら業績悪化の要因を、平成27年5月14日付プレスリリース「2015 〜2017年
度 中期経営計画の策定に関するお知らせ」で、@変化への機敏な対応力の弱さ、A成長事
業の立ち上げ遅れ、Bコスト競争力の低下、Cガバナンス・経営管理力の不足にあったとして
いる。不振企業に共通する全てを列挙したようにみえる。そして、家電、太陽電池、複写機、電
子部品、液晶などを社内分社するという(カンパニー制採用)。
代表権がある5人の取締役は4人が退任。高橋社長は「不退転の覚悟で私が先頭に立って中
期計画に取り組むのが責任」と述べる。

○シャープは液晶テレビで市場を席巻した。三重県亀山市に専用の工場を作ったのは02年。
だが亀山ブランドの成功が足をひっぱることになった。
 家電の主力はテレビからiPhoneに移行した。時代に対応できなかったとの反省は、保有す
る技術の遅れを示唆するのかもしれない。
三洋電気鰍フ例もある。パナソニックの支援を受け傘下に入った同社は、SANYOのブランド
だけは残るかにみえた。しかし、それすらも消えた。
成功体験に頼ることの危険性はあらゆる場面で指摘されることであるが、なかなか抜けること
はできないようだ。まことに企業経営は気が抜けない。

〇アベノミクスで日本は好景気であるという。円安で輸出も好調であるという。経常収支も黒字
計上になった。
だが市場から消えた大企業は少なくない。シャープの低迷は「淘汰の波は容赦ない」ことを示
唆している。
(黄色い風見鶏)
 
  

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