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愛縁奇縁
No.121:安倍首相の戦後70年
後戻りできない政策転換


〇安倍晋三首相は、このゴールデンウイークに訪米し、米国議会(上下両院合同会議)で演説
をした。日本の首相では初めてという。おかげで首相は大満足、喜色満面だった。

〇政治評論家の森田実氏は安倍首相の政治行動を「他人から称賛されたいという虚栄心、手
柄を上げたいという功名心、あるいはA級戦犯容疑者だった祖父岸信介の名誉を回復したい
という執念に尽きる」と論じている。なかなかきわどい表現であるが、その通りなのかもしれな
い。氏は「一国のリーダーは、国益のために己をむなしくする必要がある」と期待しながら「首
相には国民のためという発想が欠けている」とバッサリである。

〇今回の訪米で「オバマ大統領の歓心を買うために、アメリカのために日米ガイドラインを見
直し、自衛隊を差し出す」と森田氏の論調は厳しい。国会での審議はこれからなのに、米国で
は勝手に約束してしまう状態では、国民のためという発想は希薄なのでないか。
米国に共同して世界中のどこにでも自衛隊が出動するのであれば、どこかの時点で、死者が
出るかもしれない。戦後70年の平和は大丈夫なのかと問いたくなる。
昭和20年以前のように一方的に中国大陸で戦う時代ではない。好戦的な方針は危うさがいっ
ぱいである。

〇村山談話で反省した戦争への思いも変わろうとしているのか。
同談話は、戦後50年にあたる1995年8月15日に村山内閣(当時)が閣議決定したもの。過去
の一時期、植民地支配と侵略によりアジア諸国に多大の損害と苦痛を与えたことを認め、痛
切な反省と心からのおわびを表明している。以後、歴代内閣が村山談話の歴史認識を踏襲。
過去の「植民地支配と侵略」を認めて「痛切な反省」と「心からのおわび」を表明し続けている。
小泉純一郎元首相の戦後60年談話にも同じ文言が盛り込まれた。

〇だが安倍首相は、歴代内閣が継承してきた村山談話の歴史認識を引き継ぐとしているもの
の、同様の文言は使わないと繰り返す。
政治は言葉である。違う言葉で同じことを表現できるのだろうか。あの対戦で日本が戦った地
域は、大陸であり、南の島々だった。アジアの国々は日本の国土内で日本と戦ったわけではな
い。そのような明確な事実は、いかように表現を変えようと消えるものではないだろう。
村山富市氏は「引き継ぐからいいじゃないかなんて言わんで(同じ文言を)素直に言えばいい。
(首相の本音では)もう言いたくないんじゃ」と不信感をあらわにしたという。

〇こうした安倍晋三首相の積極的な姿勢を、米議会調査局は「日米同盟における安全保障協
力の拡大になる」としながらも、日本と近隣諸国との緊張関係が高まっていると指摘し、危惧す
る。
4日には欧米の日本研究者ら187人が、過去の植民地支配や侵略の過ちを認める機会にす
るよう求める声明を発表した。そのなかで、戦後日本の発展は祝うべきこととしながらも、「歴
史解釈の問題が障害になっている」と指摘。平和と友好のためにも「過去の過ち」について偏
見のない発言を求めている。

〇過去の反省との連続性を求める論調は米国はじめ、各国から出ている。日本という大国が
大きな政策転換を行おうとしている今、大国であるがゆえに、私たちが考える以上に世界の注
目が集まっている。(社主)
  

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