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愛縁奇縁
No.109:研究者小保方さんは退職
万能細胞は幻か


〇理研(独立行政法人理化学研究所)の小保方晴子研究員(31)は12月19日、同研究所へ退
職願を出し退職した。小保方さんはSTAP細胞の作製に成功したとして権威ある学術論文集
『ネイチャー』に寄稿。2014年1月末、掲載になってからは、賞賛の的だった。「リケジョの星」
「ノーベル賞級の発見」としてもてはやされた。

〇STAP細胞は、動物の分化した細胞を弱酸性溶液に浸すなどの外的刺激(ストレス)を与え
て再び分化する能力を獲得させた細胞。刺激惹起性多能性獲得細胞とされる。従来、外的刺
激のみで、動物細胞の分化を無効にして(初期化=リプログラミング)万能細胞にすることはで
きないことは、生物学の常識とされていた。
このためSTAP細胞の発見は生命科学の常識を覆す大発見とされ期待が一気に高まったの
である。

〇だが、好事魔多しという。論文に数々の疑惑が指摘される。第3者の論文登用が発覚した。
写真の改ざんなど、有り得ないことが多々発覚した。博士号を得た早稲田大学の論文にまで
疑惑が波及する。
7月に撤回したネイチャー誌掲載の論文では、マウスのリンパ球を弱酸性の溶液に浸して、S
TAP細胞を作ったとしていた。だが論文に記載された通りの方法でやってもSTAP細胞は作製
できない。世界中の生命科学の学者がチャレンジしてもできなかったのでは、弁明の余地は少
ない。
それでも理研はSTAP細胞の再現実験に乗り出した。本年3月末を期限に検証チームを編
成。実験に取り組んできた。小保方さんにはチームとは別に監視カメラ付きの実験室を独自に
用意。検証に取り組んだ。だが理研は期限をまたずに「STAP現象を再現できない」と結論付
けた。
論文にはずさんな個所や疑惑が多々見つかったのである。ついに偽造の烙印まで押された。

〇小保方さんは昨年4月の記者会見で「STAP細胞はあります」「200回以上作製した」と説明
していた。だがこれでは小保方さんは身の置きどころがない。司法上の抗弁も行わず、疑惑を
認めた形での退職である。
理研は1917年(大正6年)に財団法人として創設された日本で有数の研究機関。戦後、渇ネ
学研究所、特殊法人時代を経て、2003年(平成15年)10月に文部科学省所轄の独立行政法
人理化学研究所として再発足している。
2013年には理事長にノーベル賞を受賞した野依良治氏を迎えている。大学や企業との連携
による共同研究、受託研究等を実施しているほか、知的財産等の産業界への技術移転を積
極的に進めていた。研究成果を社会に普及させることが期待されていたが残念な事態であ
る。
小保方さんは研究者生命も危うい。地道な研究姿勢を逸脱すると、陥穽があるとの教訓であ
ろうか。再度の地道な展開が期待される。
(黄色い風見鶏)





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