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No.970:「臭いものには蓋をしろ」

「臭いものには蓋をしろ」とは日本の俚諺である。「都合の悪いことや醜聞が他に漏れないよう
に、一時凌ぎの方法で隠すことのたとえ」とされる。姑息な手段を取らずに、きちんと対応すれ
ばよいことであるが、それにはなかなか手間がかかる▼国際政治の場でも一時凌ぎは横行す
る。北方4島の返還問題では歯舞(ハボマイ)、色丹(シコタン)2島の先行返還が出てきた。だ
が2島の返還を先行することで、「あとはうやむやにしてしまおうとしているのでないか」との疑
義も出る。拉致被害についても同じである。臭いものは蓋をして触れないでおけば、とりあえず
は議論が湧かず、凌ぐことができる▼天才画家ピカソが描いた『ゲルニカ』も、同じような目に
遭っている。米国務長官が国連で、イラクが大量破壊兵器を使用する前に「先制攻撃」すべき
であると演説した(2003年2月)。この翌月からイラク戦争が始まる。この時、国務長官の背
後にあるべき『ゲルニカ』にはすっぽりと暗幕が被せられていた▼ゲルニカはスペインの古都。
反政府軍の側に付いたナチスドイツが空爆した。ピカソは縦3・49b、横幅7・76bの画面いっ
ぱいに空爆による惨状を描く。血を流す人物。苦しげな馬や牛。それは平和への意思表示とし
て世界中から賞賛を得た▼その『ゲルニカ』の前で、空爆による多くの市民の嘆きを背にしな
がら、「先制攻撃」を説くことには、さすがに気が咎めたのであろう。まさに「臭いものには蓋を
しろ」の国際版だった。だがそれでは本当の解決にならない。(とけいそう)



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