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悠久録(過去の悠久録はこちら)
No.900:大村智さん(80)

 ノーベル賞(医学・生理学賞)を授賞した北里大学特別栄誉教授の大村智さん(80)は受賞
前、生まれ故郷の韮崎市(山梨県)に美術品のコレクションを寄贈した▼購入費だけでも総額
5億円にのぼるらしいが、大村さんは「故郷への恩返しです」とサラリと言う。「若い人たちへの
投資でもある」と語る。作品を公開して、観賞できるようにとの思いから美術館も新築し一緒に
寄贈した。そのコレクションは絵画や陶器、彫刻など約3500点にのぼる▼大村さんの研究成
果は医薬品になった。その特許料が膨大らしく、大学へ入る分だけでも250億円とも聞く。同
大学研究所の名誉理事長であり、女子美術大学の理事長でもあった。美術品収集家として知
られた大村さんは、特許料は「食べるだけで十分」とくったくがない▼かなりの資産家である
が、若い頃は苦労した。定時制高校の教師も経験している。このとき昼間働いた後に登校し、
勉強する生徒たちをみる。大村さんは、「自分も頑張らなければ」と一念発起する。そして夜は
教師、昼は大学院生として猛烈に勉強したという▼大村さんは「人の役にたつことだけを考え
てきた」と話す。人生の分かれ道に立った時は、「それを基準に考えた」ともいう。祖母の教え
であり、北里研究所の創始者北里柴三郎博士の教えでもあった▼そのうえで、「人まねはしな
い。人のまねをするとそこで終わり」と後進を指導する。「大事なことは恩返しすること」という大
村さんの生き方を噛みしめてみたい。(とけいそう)

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