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悠久録(過去の悠久録はこちら)
No.803:御嶽山の噴火

(10月4日分)

多数の死者を出した御嶽山の噴火は予知できなかったという。予知は難しいと繰り返す関係
者ばかりであるが、せめて1時間前にでも分からないものなのか▼御嶽山では山頂の観測機
器が故障していたという。だが名古屋大学が新たな観測機器を設置するとの情報があったた
め、長野県は改修を先送りした。これでは被災者やその遺族には悔いが残ることだろう。自然
の猛威に対処するには現場主義、現地主義が欠かせないが、このような事態はあまりにも現
場無視である▼その長野県出身の地球科学者に岡田弘さん(おかだひろむ・1943〜)がい
る。北海道大学大学院理学研究院に附属する地震火山研究観測センターの教授を長きにわ
たってつとめた。すでに定年退官し今は同大学の名誉教授で、NPO法人環境防災総合政策
研究機構の理事である。岡田さんは平成12年の有珠山(北海道)噴火を予知した。岡田さんの
提言を受け関係機関が動く。噴火の2日前には地元3市町の住民約1万人が避難を完了した
▼一帯は洞爺湖を控え北海道でも有数の観光地である。何の備えも無ければ大参事になった
ことだろう。背景には岡田さんの観測姿勢がある。万一の場合の避難ルートも住民と一緒にな
って策定した。地元密着である。だから、先生が言うのであるからと、一斉に避難したのであ
る。このような地道な観測姿勢を高く評価され、平成13年度の防災功労者内閣総理大臣表彰
を受賞した▼自然災害は辛いことである。それだけにすべきことがあったのではないかと、思
えてならない。(とけいそう)

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