長岡新聞:トップ
社主のプロフイール 
購読の申込みメールでOK。 1か月1851円です。
新刊案内『長岡築城物語』、『いい湯めぐり温泉紀行』:詳しくはこちら


悠久録(過去の悠久録はこちら)
No.798:十五夜お月様

「悠久録」
No.798

(9月13日分)
9月(陰暦8月)の満月は、「中秋の名月」という。古来日本人に親しまれてきた。「十五夜」(じ
ゅうごや)とも呼び、さまざまな行事が行われている。当初は五穀豊穣を祝った行事であった。
ススキや団子を飾り、満月の神々しさを愛でた。しかし次第に風雅な趣を持つようになる。1年
の間で地球と月が最も近くなるのがこの日である。普段より近い距離になって、より大きく見え
る。このため一層美しく映え神々しく煌めく。「十五夜」は秋の夜長の楽しみである▼古人は、
満月が1日で終わることを惜しみ、さらに楽しもうとした。前日の「十五夜」よりもやや遅れた時
間に、まるでためらっているかのように山の端に上る。この月を「いざよう月」、「十六夜」(いざ
よい)と表現し愛でた▼満月の翌々日は「十七夜」(じゅうしちや)あるいは「立待月」(たちまち
づき)である。前日の「十六夜」よりもさらに遅い時間に昇るため、縁側に立ったり、庭に降りた
りして、月の出を待つ。まだかまだかとそわそわする様子が見えてくる。月の出は翌日にはさら
に遅くなり、「臥待月」(ふしまちづき)、「寝待月」(ねまちづき)になる。さまざまなお月様の呼び
方には、豊かな情感が溢れ、風雅な心が籠っている。自然の移ろいに見事な感性を重ねて、
古人は日々を送っていた▼「中秋の名月」は、毎年9月15日前後にやってくる。今年は特に早
く到来した。片貝の花火大会とも重なり、しみじみと夏の終わりを感じさせた。「立待の月ほの
かなる小雨かな」(伊志井寛)。(とけいそう)

記者を募集しています(0258−32−1933:星野へ) 
購読の申込みも同番号へ
トップへ
戻る