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悠久録(過去の悠久録はこちら)
No.792:蒲田事件の欺瞞
(8月19日分)

昨日は袴田巌(はかまだいわお)さんが48年前に逮捕された日である。袴田さんにとって逮捕
に至った8月18日は、忘れられない日であろう▼当時30歳だった袴田さんは勤務先である味
噌醸造業の経営者一家4人を惨殺し、家屋に放火した容疑で逮捕された。その後死刑判決を
受ける。だが袴田さんは無実を訴え続けた。本年3月27日、ついに静岡地裁の「死刑及び拘
置の執行停止並びに裁判の再審」を受け、釈放になる▼実に48年間、無実を訴え続けたので
ある。再審決定は、「(本件は)国家機関が無実の個人を陥れ、45年以上にわたり身体を拘束
し続けたこと」で、「刑事司法の理念からは到底耐え難いことといわなければならない」と述べ
る。義憤にも似た文言は、事件の冤罪性を感じ取ったからであろう▼だがそれでも静岡地検
は31日、決定を不服として即時抗告を申し立てた。東京高裁の即時抗告審であらためて審理
になる。これから先どれほどの時間がかかるのか。過酷な取り調べや拷問が取りざたされた
が、これからも長くかかるのであろうか。再審も簡単にはいかないようである▼それでも残され
た衣類のDNA再鑑定では"他人"との結論が出た。今月5日の抗告審理では有罪の証拠とさ
れた「5点の衣類」の写真ネガフィルムも出てきた。検察側が一審当時から「存在しない」と主
張し隠していたものである▼なぜ冤罪が生じるのか。理解に苦しむのであるが、長い歳月、人
生の大部分を失うに等しい冤罪は「到底耐え難いこと」であることは確かである。(とけいそう)

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