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悠久録(過去の悠久録はこちら)
No.782:「脱原発」に意欲は無いのか

2014年7月1日掲載
6月は株主総会の時期である。3月決算の会社は、商法の定めに従って、おおむね6月の下
旬に株主総会を開く。出資を仰いだ株主に1年間の営業成績を報告し、新たな1年間の経営
方針を説明するのである。国内の電力会社も先週そろって株主総会を開催した▼沖縄電力を
除く9電力会社の株主総会では、「脱原発」を求める株主提案が出された。だが、事前の対応
策があったのだろうか。現経営陣は「脱原発」に意欲は無いのか。多数派の前に全て否決され
た。株主の声を反映するはずの株主総会も、現経営陣の意向にはあまり実効性が無い▼配
当金を当てにしていた個人株主が無配に怒ったとしても、「収支状況は非常に厳しく、先行き
の経営環境も依然として不透明。無配となり、深くおわびする」と役員全員が頭を下げる前で
は、何の手立てもない。3年連続赤字で2年連続の無配でも経営陣はなかなか退陣しない▼
関西電力の筆頭株主として出席した橋下徹大阪市長は、社長以下全役員に対して「皆さんは
経営陣として失格だ」と批判したが暖簾に腕押しである。質問時間が3分間と限られたことも怒
っていた。ついに「答弁次第では株主をやめ、株を全部売却したい」と市の保有株式の売却に
まで言及、原発反対派に売却をほのめかしたりしたが、「脱原発」にはいたらない▼現行の制
度では株主総会を最高決議機関とする。この決議は株式1口について1票となっている。だか
ら、過半数の株式を保有していなければ、どんなに声を大きくしても通らない。とりわけ東京電
力は2012年に実質国有化され、政府が出資する原子力損害賠償支援機構が株式の過半数
を握っている。機構は、再建には原発再稼働が不可欠との立場である▼株主面からの「脱原
発」は、なかなか難しい。
(とけいそう)


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