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悠久録(過去の悠久録はこちら)
No.783:峠 三吉の詩『原爆詩集』

(7月5日分)

吉永小百合さんは人気抜群の女優である。彼女のフアンはサユリストと称し、今も熱い眼差し
を向けている。吉永さんは2005年、第20回の平和フォーラムに参加するため来岡した。この
とき、峠 三吉(とうげ さんきち・1917〜53)の詩『原爆詩集』を朗読した▼始まりは、「ちちを
かえせ/ははをかえせ/としよりをかえせ/こどもをかえせ/わたしをかえせ/わたしにつな
がるにんげんをかえせ/にんげんのにんげんのよのあるかぎり/くずれぬへいわをへいわを
かえせ」である。長い詩である。最後に三吉は「この歴史のまえに未来を悔あらしめぬよう」と
刻む▼太平洋戦争は多くの惨禍をもたらした。その反省が平和憲法であり第9条であった。そ
の本旨を安倍内閣は変更した。国会の決議も無い。これから、関連法案の改正が進む。隣国
や友好国との関係の中で、日本の針路が転換する。日本は戦後70年にして大きな転換をする
ことになるのだろう▼長岡在住の医師丸岡稔さんは詩『若者よ』をつくった。「若者よその銃を
執る前に/思い出してくれないか」で始まる。「君に愛する家族がいるように/相手にも愛する
家族がいることを/若者よその銃口を向ける前に思ってくれないか/相手に愛する人がいる
ように君にも愛する人がいる筈」とつづく。そして「これまで多くの友と身内を失ってきた/戦争
は何も生みはしないことを/わたしは知った」とうたう▼言葉の力は小さいのであるが、それで
もなお、語り継ぐことは今を生きている者の務めなのだろう。(とけいそう)


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