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No.1045:東芝は、バブルの美酒を飲み過ぎた

(6月8日分)

東芝は決算発表ができないという。監査法人による監査証明が必要であるが、それが出な
い。赤字は1兆円にのぼるらしい。これでは上場廃止になる。だから隠したいということか。気
を許して安易な経営をしたということか▼1兆円もの赤字を補填した銀行はさぞ困っていること
だろう。債務超過で上場廃止、あるいは倒産になるのか。いずれにしても自らの貸付金が宙に
浮きかねない。潰れる銀行がいくつも出るかもしれない。それを慮っているのか▼成長著しか
った家電であるが、シャープも日立も三洋も皆つまずいた。わが世の春を謳歌し過ぎた結果、
会社消滅などになりかねない事態である。好調このうえなかった大企業の醜態であり、宴の後
始末は容易ではない▼長岡には名物「十分杯」がある。酒をなみなみと注ぐと、なぜかこぼれ
てしまう。中庸(ちゅうよう)を考え静かに嗜(たしな)む限りは、酒はのどを潤して美酒になる。
中庸は過不足がなく調和がとれている、あるいは過大と過小の両極端を避けること。酒席を話
題豊富にする杯である▼長岡藩3代藩主牧野忠辰(ただとき)公(1665〜1722)はこれを愛
し、常に座右において自らの行動を諌めたという。さらに藩士にもこれを勧め、質実剛健な生
活の指針とした。おかげで3大名君の1人になった。長岡藩は明治のはじめ、「米百俵」の古事
を生んだが、その淵源には「十分杯」の教えがある▼どうやら東芝は、バブルの美酒を飲み過
ぎたようだ。もう少し早い時期に「十分杯」を教えてあげればよかった。(とけいそう)


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