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(12月22日分)
「戦場で失ったものを、会議で取り戻すことは難しい」という。歴史の事実を紐解けばその通り
であって例外はごく少数にとどまる▼戦争に負けて領土を奪われた国が、その領土の返還を 求めてもなかなか実現しない。戦利品は手放したくないのが人情であるし、特段のトラブルが 無ければ、奪ったままでいたい。負けた側は、兵力を蓄えていつか取り返そうと図るが、そんな ことでは世の中安定しない▼史上稀有な例は沖縄返還だった。太平洋戦争に勝った米国は、 沖縄を占領。通貨はドル、沖縄へ行くにはパスポートが必要だった。その返還は1972年、ニ クソン大統領と佐藤栄作総理との合意で実現した。戦場で失ったものを会議で取り返した稀有 な事例である▼だがその裏では日米同盟の強化や、核兵器の扱いなど、秘密協定が多いと 聞く。事実は判然としないが、沖縄返還とバーターで決まった諸々の施策が、日本の現在を方 向づけているのは事実だろう▼安倍首相は北方4島について同じことを目指した。平和条約を 締結して、ロシアの占領が続く北方4島の返還をうける。代わりに経済支援を行う。その道筋を 付けたいとの思惑だった。だが会談はうまくいかなかった。領土は還ってこない。それでも日本 は資金を提供。4島の経済開発に協力するという▼4島の一つ択捉(エトロフ)島は、真珠湾攻 撃を目指す日本海軍の最前線基地だった。ここから日本海軍の空母群が出撃し、米国太平 洋艦隊を急襲した。因縁の島はこれからもロシアの占領が続く。外交とは難しいものだ。(とけ いそう)
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