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長岡新聞・悠久録(5月30日)No.1608 カキツバタ

カキツバタの季節になった。和歌に詠まれ、絵画や漆芸の意匠に登場する。尾形光琳の『燕子
花図屏風』はとりわけ有名だ。凛とした花姿の中に華やかさがある。昔から琳派が描き高貴な家
々を飾ってきた▼六歌仙の一人、在原業平は「から衣/きつつなれにし/つましあれば/はる
ばる来ぬる/たびをしぞ思ふ」と詠んだ。各節の頭を取るとカキツバタになる。名歌のおかげで、
ますます親しまれている▼江戸の絵師・酒井抱一はカキツバタの屏風を頼まれた。画料は花一
つにつき一分という。つぼみについては無料でよいから、花のうえにそれぞれ一分金(4枚で1両
)をのせるようにとした。注文主が指示のままにしたらきっちり100枚(25両)だったしてみると
絵師は正確に100個もの花を画いて傑作にしたことになる。名人はやることが違う。絵師は譜代
大名・姫路藩酒井家2代藩主の弟であって、江戸琳派の総帥。風雅の人として知られた。その傑
作は数多く現存し、カキツバタを愛でている▼市内大積の谷内池では、カキツバタが群生する。
休耕田だったのに、気づいたら大群生地に変わっていた。地元住民が楽しんでいただけだった
が、2020年ごろから、地区外の鑑賞者が増えたという▼「花の寺」雙林寺(下沼新田)では多く
の花々が迎えている。百花繚乱の季節だ。自然の営みを満喫したい。(とけいそう)

 








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