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愛縁奇縁
No.125:「人選を間違えた」憲法論議
急ぎ過ぎる論議は国論を2分する

〇国会に招致された3人の憲法学者が、現在審議中の安保法制についていずれも違憲であ
ると断じた。政府は大慌てである。慌てふためいて、「いや、憲法に違反していない」と声を荒
げる。
あまつさえ「人選を間違えた」という。3人の憲法学者を選んだのは自民党である。「人選が正
しければ」違憲の判断は出なかったと言いたいようである。これでは専門家の声を謙虚に聴い
て国の方向を考えようとの姿勢は無いと同じではないか。
自民党高村正彦副総裁は「国民の命と暮らしに責任を持つのは憲法学者ではない」と専門家
の判断に異を唱える。そして「政治家が国民の命と暮らしに責任を持たなければならない」と声
を張り上げた。余りにも威圧的で傲慢。国民不在の感覚で本当にびっくりする。

〇3人の憲法学者の内、長谷部恭男氏(早稲田大教授)と小林節氏(慶應大教授)が6月15
日、東京有楽町の外国特派員協会で記者会見した。2人は政府が国会に提出している安保法
制について。「撤回すべき」だと声を揃えた。
違憲との判断が明快である。
長谷部教授は「核心的な部分、つまり集団的自衛権を容認している部分が、明らかに憲法違
反だ」という。安保法制でいうところの集団的自衛権の行使は、「他国軍隊の武力行使と自衛
隊の一体化をもたらす」と指摘した。

〇小林教授は「違憲というのはもちろん」と断定したうえで、「憲法違反がまかり通ると、憲法に
従って政治を行うというルールがなくなって、北朝鮮みたいな国になってしまう」という。日本の
今のやり方は法令無視と言いたいのだろう。
そして「安倍さんの言うとおりにしたら、日本の自衛隊はアメリカ軍の二軍になっちゃって、日本
は傷ついたうえに破産してしまいます。何一ついいことはないですね」と警鐘を鳴らす。一言で
いえば、自衛隊が米軍の盾になるということだろう。自国の軍隊が他国の盾になるのは確かに
おかしい。今論議されている安保法制は、種々の歯止めを設けるとしているが、一言でいえ
ば、米軍の盾にすることに他ならないのか。
こうなれば「撤回すべきで、撤回しないなら選挙で倒すべきだと思います」と語気を強める。

〇外務省のホームページには、「安全保障に関する世論調査」結果が載っている。(平成14年
3月、全国20歳以上の男女2000人へのアンケート調査、有効回答1397人)
 同調査の第1問が「現在日本は安全で平和であると思いますか」と日本の平和と安全に対す
る意識を問うている。この回答の半数以上(54%)がそのように「思う」と答える。
さらにその理由につては「平和憲法」が64%、「アメリカとの同盟関係」が51%、「非核三原則」
が46%である。「自衛隊の存在」は12%である。
調査結果から見る限り、政府与党の対応は、国民目線にあわない。

〇長谷部教授は、「集団的自衛権の行使が違憲だという結論は、長年にわたって、複数の政
府機関が徹底的で入念な熟議を経て出されたもの」と指摘。こうした法制度検証の成果が、
「時の首相の好みで変更できるなら、政治権力を制限するという憲法の役割は消失してしま
う。憲法条文のどんな解釈でも可能ということになってしまう」と、危機感を表明した。
 急ぎ過ぎる論議は、国論を2分する事態になった。
(社主)
   


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No.124:現代版「姥捨て山」か
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