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No.954:花火「白菊」

長岡まつりも終わった。雨によって中止になった行事もあるが、年に1度の花火大会は2日間
にわたって、私たちを酔わせてくれた。前夜祭の踊りも神輿渡御も、恒例の行事に夏を感じる
▼祭り期間中に何度か打ち上げになった「白菊」は、柔らかな光の線が印象深かった。火薬を
包む和紙を選ぶことで、ほんのわずかな時間、光の線が長く続く。通常の花火が一瞬の輝き
に魅力を感じさせるが、白菊はわずかに長い時間輝くことで、観る者に様々な思いをもたらす
▼花火師の嘉瀬さんがシベリアに抑留になった際、極寒の地で果てた仲間を悼んで作ったと
いう。スターマインやワイド型が多い中で、昔ながらの菊型である。オーソドックスな形の中に
哀切さが心に響く。伝統の様式を踏襲しながら観る者に新しい感慨をもたらす▼祭りの日は、
米軍による空襲があった日である。多くの市民が焼夷弾の猛火に逃げ惑い、焼死した。長岡
の花火はそのような哀しみをあらわしている。そして今日は広島に原爆が投下された日であ
る。9日は長崎が原爆の惨劇を受けた。両市を合わせた死者は、20万人とも30万人ともされ
る。異常な惨禍だった▼8日には天皇陛下が「生前退位」を巡っての自身のお気持ちを表明さ
れるという。直接的な言及はしないのでないかとの推測もあるが、終戦記念日を控えたタイミン
グである。国民すべての思いを代弁されるのか。8月が巡って来るたびに、日本人は忘れるこ
とができないことを思い出す▼戦後70年を超えて、新たな仕組みへの模索は高まっている。
(とけいそう)
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