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建築家のザハ・ハディドさん(65)が急死した。新国立競技場の最初のデザインに決まっていた
が、価格問題で白紙撤回になった。その心労があったのであろうか。2004年に建築界のノー ベル賞といわれる「プリツカー賞」を女性で初めて受賞した。才能豊かな逸材だった。惜しいこ とである▼やり直しの公募はアオーレ長岡を設計した隈研吾さんに決まった。長岡になじみあ る建築家である。「木と緑のスタジアム」をコンセプトにしたデザインは親しみが持てる。だが価 格を意識し過ぎたのであろうか、今度は聖火台が欠落していた▼オリンピックの聖火はアテネ で太陽光から採火した火を、世界中の国々をリレーして開催国へ運ぶ。そして最終ランナーが 聖火台に点灯。オリンピックの期間中消えない。だから聖火台は、オリンピックの華であって、 欠かせないモニュメントである。だが何故か欠落した。設計の中に入っていなかったとのことで ある▼聖火点灯から閉会式での消灯まで、演出は重要である。国際オリンピック委員会(IO C)は、「スタジアム内の観客全てから見える場所」または「外からも見えるよう、可能な限り目 立つ場所」に聖火台を造るよう、求めている。勝手に設置場所を決めたり、省略したりは出来 ない。聖火台の追加によって価格問題が再燃しなければ良いが、と余計な心配も出てくる▼日 本スポーツ振興センター(JSC)、関係閣僚会議、組織委員会、東京都は、それぞれバラバラ のようだ。鬼籍に入ったザハさんも気になっているのでないか。(とけいそう)
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