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悠久録(過去の悠久録はこちら)
No.917:お雛様の左右


3月に入りいよいよ春の声が聞こえる。梅の花が咲く時期であり、桜便りもちかい。街角にはひ
な人形が並び、人の動きも賑やかである▼おひな様のメーンは内裏雛であろう。紫宸殿(天皇
家の公式儀式が行われた御殿)をかたどった壇上の最上部に鎮座する。だが、男雛をどちら
に飾るのか。右(向かって左)か左(向かって右)か。飾り方はまちまちのようでもあり、迷ってし
まうのが例年のことである▼江戸時代までの日本の礼法では、左が上座だった。だから男雛
は左(向かって右)に、女雛は右(向かって左)に飾り付ける。男子優位の発想である。だが明
治以降、欧米諸国のマナーの影響を受ける。男雛と女雛の位置が逆転するケースも多くなっ
た。さらに昭和天皇の即位礼(昭和3年)では諸外国に合わせて、立ち位置を変えた。このこと
が庶民に自然に受け入れられて、いつの間にか、おひな様の飾り方も変わった▼だがそれで
も、左大臣と右大臣の立ち位置には、日本の礼法が生きている。左大臣は左(向かって右)に
飾る。ちなみに「左近の桜、右近の橘」も同じ発想で、サクラは左(向かって右)、タチバナは右
(向かって左)に飾る。市立科学博物館での牧野家ゆかりのおひな様は、男雛が左(向かって
右)にすわり、日本人の昔からの礼法を今に伝えていた▼いずれの飾り方であっても、それぞ
れの持ち主が慈しんできたおひな様は、慎み深く清楚な顔立ちである。春を呼ぶ年中行事は、
和やかな気分にさせる。3日を過ぎて早や、ひな納め。すぐに桜の季節になる。(とけいそう)


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