購読の申込みメールでOK。 1か月1851円です。
新刊案内『長岡築城物語』、『いい湯めぐり温泉紀行』:詳しくはこちら
川柳、俳句、短歌に投稿しませんか:詳しくはこちら
悠久録(過去の悠久録はこちら)
3月に入りいよいよ春の声が聞こえる。梅の花が咲く時期であり、桜便りもちかい。街角にはひ
な人形が並び、人の動きも賑やかである▼おひな様のメーンは内裏雛であろう。紫宸殿(天皇 家の公式儀式が行われた御殿)をかたどった壇上の最上部に鎮座する。だが、男雛をどちら に飾るのか。右(向かって左)か左(向かって右)か。飾り方はまちまちのようでもあり、迷ってし まうのが例年のことである▼江戸時代までの日本の礼法では、左が上座だった。だから男雛 は左(向かって右)に、女雛は右(向かって左)に飾り付ける。男子優位の発想である。だが明 治以降、欧米諸国のマナーの影響を受ける。男雛と女雛の位置が逆転するケースも多くなっ た。さらに昭和天皇の即位礼(昭和3年)では諸外国に合わせて、立ち位置を変えた。このこと が庶民に自然に受け入れられて、いつの間にか、おひな様の飾り方も変わった▼だがそれで も、左大臣と右大臣の立ち位置には、日本の礼法が生きている。左大臣は左(向かって右)に 飾る。ちなみに「左近の桜、右近の橘」も同じ発想で、サクラは左(向かって右)、タチバナは右 (向かって左)に飾る。市立科学博物館での牧野家ゆかりのおひな様は、男雛が左(向かって 右)にすわり、日本人の昔からの礼法を今に伝えていた▼いずれの飾り方であっても、それぞ れの持ち主が慈しんできたおひな様は、慎み深く清楚な顔立ちである。春を呼ぶ年中行事は、 和やかな気分にさせる。3日を過ぎて早や、ひな納め。すぐに桜の季節になる。(とけいそう)
記者を募集しています(0258−32−1933:星野へ)
購読の申込みも同番号へ
|