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悠久録(過去の悠久録はこちら)
No.905:山眠る

今年は小雪である。地球温暖化が進んでいるせいだろうか。少ない雪に生活もビジネスも楽で
あると、喜んでいる向きが多い。その一方で、スキー場等は困っている▼今の時季を「山眠る」
という。冬の山は眠るがごとく静まり返り、生き物の気配が止まる。長岡は豪雪地帯で、冬期
間は2b前後の積雪も珍しくない。そのような冬の厳しさの前に、じっと春をまつことの形容で
ある▼「是がまあつひの栖(すみか)か雪五尺」なる句がある。小林一茶の句である。五尺は
約150ab。機械除雪がない時代にこれだけ積もれば、あとは眠るしかない。大雪の前にな
すすべもない古人の嘆きが、聞こえてくる▼だが、「雪は豊年の端(しるし)」である。春の「山笑
う」まで、ある程度の降雪が豊作を保証する。稲の害虫が冬期間、寒さのおかげで死滅すると
聞く。関東平野の害虫は侵入してこないとも聞く。雪の利点は大きい▼新潟県言葉の会理事
の唐澤衛さんは、40を超える雪を表現した多様な言葉を列記する(『ことばの小径をゆく』201
4年6月刊・雑草出版)。そこには雪と共生しながら培った雪国の文化のかおりがする▼いわく
「あわ雪、こな雪、ささめ雪、しら雪、はなびら雪、ぼたん雪、雪あかり、雪げ、雪しずり、雪ば
な、雪びさし、雪びより、雪ぼうし、雪ぼとけ、雪まじり、よこ雪、わた雪」等である。歳時記にも
多様な雪の言葉がある▼今は「山眠る」季節ではあるが、小雪を機に活発に動く時期なのだろ
う。人間社会は、決して眠ることなく動いているのだから。(とけいそう)

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