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悠久録(過去の悠久録はこちら)
No.899:門松

あちこちのお店に正月飾りが並んでいる。デザインは松、竹、梅が多い。お正月飾りは「松竹
梅」に限るようだ。これに稲わらを添えて五穀豊穣、今年の幸福を祈る。正月飾りは身近な自
然の恵みを活用する▼門松も魅力である。太い竹を3本まっすぐに立て、これに松を添える。
竹と松の緑に、竹の切り口からのぞく清浄な白が、まことに清らかである。これに紅白の梅を
添えればいっそう華やぐ。根元は杉の樹皮で囲う。全ての素材が身近に存在する自然の恵み
である▼ちなみに、竹の新芽は筍(たけのこ)として食用になり、まことに美味い。しかも成長が
早く、あっという間に伸び、4、5年で一人前になる。育てるのにさほどの手間がいらない。中心
は空洞であるため、軽くて丈夫である。太さ、長さは様々にあり、色も多彩。節をうまく使えば器
にもなる。山の斜面に植えて土止めにし、さらには地震対策にもした。このような竹の特徴は
古くから大きな利点だった▼大量に生まれてくる竹は気軽に利用でき、不要になれば放置する
だけで自然に戻っていく。その皮は、おにぎり、団子、羊羹などの包装紙になり、重ねて雨よけ
にも使った。武器(弓矢)、楽器(横笛、尺八、笙)などからおもちゃ(凧、竹馬)にまで利用範囲
は広い。さらに屋内にも使用した。昔の日本人は身近な自然の恵みを巧みに利用した▼パリ
でCO2排出ゼロの合意が成った。だが自然の恵みはそのような課題とは縁がない。お正月は
私たちが便利さから忘れかけている昔の智慧を、思いださせてくれる。(とけいそう)


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