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No.896:大津波が来ると察知した庄屋浜口五兵衛

 東日本大震災で被災した田畑ヨシさん(90)が、自作の紙芝居の読み聞かせを中島小学校で
行った。ヨシさんは人の英知と勇気を後世に伝えたいとする▼安政元年11月5日、「安政南海
地震」が紀州を襲う。大津波が来ると察知した庄屋浜口五兵衛は、村人に危急を知らせようと
する。走って知らせるのでは間に合わない。そこで高台の稲わらに火をつけた。驚いて消火に
駆け付けた村人たちは、命を守ることができた。五兵衛はその後、私財で防潮堤を築く▼明治
29年、小泉八雲(本名=ラフカディオ・ハーン)は『A Living God』でこれを紹介。美しい英文で
五兵衛の献身を讃えた。八雲のおかげで五兵衛の物語は、イギリス他世界に広く流布する。さ
らに明治36年。五兵衛の末子担が、ロンドンで英語の講演をする。このとき某夫人がテーマに
関係ない質問を許してほしいとして、感動を受けた五兵衛の物語を話す。そして担との関係を
問うた。予期せぬ質問と父の事績への好意に、担は言葉を詰まらせ、会場は総立ちの拍手が
やまなかったという▼さらにくだって昭和12年、文部省が教材を公募する。このとき五兵衛と同
郷の青年教師が、郷土の恩人を「稲むらの火」に描き、応募した。これが10年間、国語教科書
に載る。こうして五兵衛の物語は全国、世界に広がった。今年国連第2委員会は「稲むらの
火」の11月5日を「津波防災の日」に決める。日本の提案に世界142か国が共感した共同提
案だった▼天災に立ち向かう英知と勇気は限りなく繋がる。(とけいそう)


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