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No.886:「手紙が届けるハート」
(10月24日分)

「はがきの名文コンクール」に8歳の少女が書いた。「神様まいごになったら、かえり道を教えて
ください。わたしだけじゃなく犬のクーちゃんや、まいごのみんな、おじいちゃんおばあちゃんに
も道を教えてください」と▼幼いころの病で足が不自由な男性(71)は、母の背で成人した。「今
度は僕が母をおんぶして歩きたい」と書く。45歳の母は「母さん床屋が一回でも長く続きますよ
うに」という。いずれも入賞作品である。はがきの中に願いを込めた文章は、どれもこれも光っ
ている▼同コンクールは、はがきに20字以上200字以内で願いを書くことで、「はがきを書く習
慣を全国に広め、 日本語の美しさを高めたい」とする。奈良県御所市、堺屋記念財団、日本
郵便鰍ェ協力。吉本ばなな(作家)、齋藤孝(教育学者)、堺屋太一(作家)の各氏が審査委員
をつとめる▼メールが普及し、通信手段はどんどん変わってきた。手紙を書くことが少なくなっ
たが、書き手の心情を伝える手紙は、いつもうれしいものである。「一筆啓上 火の用心お仙泣
かすな馬肥やせ」は、日本一短い手紙としてよく知られている▼徳川家康の家臣本多重次が
長篠の戦い(1575年)の陣中から、妻にあてて書いたという。「お仙」は当時幼子であった嫡
子仙千代(成人して成重)である。徳川家中で勇猛を知られた重次は、簡潔な文章で最も大切
な願いと無事を知らせている。おかげで名文として今に伝わる▼同コンクールには4万通近く
の応募があったという。手紙は熱い思いを伝える。(とけいそう)



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