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No.881:フルシチョフとケネディの会食

(9月29日分)

食事の作法は面倒である。美味しければ十分とは思うが、作法がなければ粗野になりかねな
い。あまりにも厳格であれば、味は半減する▼洋食のフルコースも緊張する。ナイフとフォーク
の順番が厄介である。テーブルには水を入れたフィンガーボールが置いてある。食事中に汚
れた指先を洗うためのもの。飲むための水ではない▼だが世の中には豪傑がいる。フルシチ
ョフ(旧ソビエト連邦第4代最高指導者)がケネディ(第35代アメリカ合衆国大統領)と会食中
に、これを飲んだ。華やかな宴会場が一瞬静まり返った中で、ケネディもおもむろに同じ水を
飲んだという。世界の政治をリードした2人の巨人は、食事のルールを超えて快い挿話を残し
ている▼とはいえ、最小限のルールはある。今は秋。秋はサンマ(秋刀魚)の季節である。民
主党の某有力女性議員が秋の味覚サンマを愛でて、自らのブログに自分が焼いたサンマの
写真を載せた。だが、写真がマズかった。サンマの頭が右を向いていたのである▼早速メー
ルが殺到したという。「焼き魚の盛り付けは頭を左にするのだ」と。国会議員でも知らないこと
が多いのは世の習いであるが、少々具合が悪かった。ブログからはいつの間にか該当ページ
は消えている▼サンマといえば詩人佐藤春夫の詩を思い出す。「あはれ秋風よ/情(こころ)
あらば伝えてよ/―男ありて今日の夕餉にひとり/さんまを食ひて/思ひにふけると・・・」(秋
刀魚の歌・1921年初出)。名詩であるが、詩人はサンマの頭の向きには触れていない。(とけ
いそう)


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