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悠久録(過去の悠久録はこちら)
No.878:「縹(はなだ)」はツユクサの古名
(9月19日分)

猛暑が去った。これからは過ごしやすい日が続くだろう。だが、日中はまだまだ暑い。それでも
日差しが和らいで、なにやらほっとする。稲刈りも進んでいる。兼業農家が多いことから、シル
バーウィークに行うのかと想像していたが、早い稲刈りになった▼稲架木(はさぎ)がすっかり
姿を消して、藁屋根も軒先の柿の木も、今では見かけない。秋の田園風景も変わった。それで
も穏やかな日差しの下でシュウカイドウ(秋海棠)やツユクサ(露草)などの草花が元気である
▼シュウカイドウは植えた記憶がなくとも、いつの間にか繁殖する。江戸時代初期に園芸用に
持ち込まれた。いわゆる外来植物であるが、日本の風土に合ったのだろう。この時期いたると
ころで目にする。薄いピンクが目を引き付ける。増えすぎたとして抜いても、やわらかな色あい
の魅力に負けて、ついつい育ててしまう。可憐な花姿に愛好家が多い▼シュウカイドウのピン
クに対してツユクサのブルーも負けずに繁茂する。花はかわいらしいのであるが、茎が高く伸
び、しかも地表を這う。どこにでも生育することから時に邪魔になる。それでも昔は染料として
使い、懐かしいブルーを生んだ。「縹(はなだ)」はツユクサの古名であり、ブルーの古名である
▼「深縹 (ふかきはなだ)」、「中縹 (なかのはなだ)」、「浅縹 (あさきはなだ」)、「白縹 (しろき
はなだ)」などはブルーを指している。日本人は片隅に咲く雑草の類からも染料を抽出し、多様
な色を生んでいった▼秋色豊かな季節が始まった。(とけいそう)



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