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No.866:イソップ物語の『オオカミと少年』

(7月28日分)

イソップ物語の『オオカミと少年』は、オオカミが来たと叫ぶ羊飼いの少年の物語である。少年
は、オオカミからヒツジを守るために駆け付ける村人を見ては喜んでいた。だが何度も叫ぶう
ちに、村人は騙されなくなった。だから本当にオオカミが来た時、羊は全部食べられてしまう▼
この話は江戸時代には日本に伝わっていたらしい。明治に入ると福沢諭吉が翻訳(明治5
年)。小学校の教科書にも登場した(明治7年)。教科書では、誰も駆け付けなくなった結果、羊
だけでなく少年までが食い殺されてしまったとある。物語をかりて嘘をついてはいけないと、明
治新政府は子どもたちに諭した▼同じような話は中国にもある。中国の幽王(ゆうおう・在位・
紀元前781〜同771年)は、絶世の美女だった褒ジ(ジ=女偏に似)(ほうじ)に一目ぼれし妃
に迎えた。だが褒ジは何が起きても全く笑わなかった。にこりともしない褒?をなんとか笑わせ
ようと幽王は一生懸命になる。あるとき隣国が攻めてくるとの報が届く。大騒ぎする廷吏の様
子を見て、なんと褒?はおかしいと笑う▼幽王は以後隣国の脅威を述べては、褒ジの笑顔を愉
しんでいた。だが偽りの話は悲劇を生む。ついには誰も信用しなくなった。本当に隣国が攻め
込んできたとき、駆け付ける廷吏は無く、あえなく捕えられ斬首になる。ごまかしの人生はいつ
か破局を迎える▼新安保法制は隣国の脅威を述べたてる。だが新法は憲法違反ではないの
か。多くの指摘を無視し、いたずらに危機感を掻き立てる言動に危うさを感じてならない。(とけ
いそう)

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