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No.865:「良馬は鞭影(べんえい)を見て走る」
(7月25日分)

「良馬は鞭影(べんえい)を見て走る」という。良い馬は、乗り手の意思を敏感にくみ取って走
る。鞭(むち)で打つ必要はない。鞭の影を感じるだけで全力で走るのである。だから人は良馬
を求めがちである▼優秀な人材には細かく指示する必要はない。「チャレンジ」と掛け声をかけ
るだけで、全力疾走する。軽率な言動は部下を困らせるが、その軽率さまでも優秀な部下はく
み取ってくれる。だが良馬は力を入れすぎることがある。下手をするとオーバーシュートになる
かもしれない。飛びすぎてオービーでは少々口惜しい▼これに対して駄馬は違う。鞭影だけで
は思うように走らない。鞭を思い切り強く入れる。それを繰り返す。それでも動かないことがあ
る。仕方がないから鼻先にニンジンをぶら下げて「アメとムチ」で何とか走らせるのである。こ
れでは扱いにくく実際問題として困るのであるが、オービーはないだろう▼さて「チャレンジ」を
連呼してきた鞄月ナ(東京都港区)である。第三者委員会(委員長=上田廣一弁護士・元東京
高等検察庁検事長)によれば、5年間で「1518億円もの不適切な会計処理が行われている」
とのこと。トップ3人の「チャレンジ」号令が招いた前代未聞の事態である▼呼びかけたのは
「チャレンジ」であって、利益のかさ上げではない、いわんや粉飾ではないという。しかし鞭影は
立派に機能した。3人の社長は辞職し名門企業の行く末も危うい▼良馬をそろえてもこの事態
である。してみれば手綱を持つ者の責任は、このうえなく重い。(とけいそう)

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