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悠久録(過去の悠久録はこちら)
No.842:余寒

(3月28日分)

4月の声が聞こえるのに、ここ数日はずいぶん寒い日が続いた。大雪にはならなかったもの
の、長岡は寒さに縮み上がった。タイヤ交換を早まったと思った方もいたことだろう。ダウンコ
ートを再度着込んだ方もいるに違いない。寒の明けからずいぶん経ち、立春も過ぎたのである
が、寒さが続く▼それでも桜が咲いたという。気象庁によると、靖国神社(東京都千代田区)の
桜がほころび、同庁職員が23日午前11時頃に開花を宣言した。同神社には「標本木」(ソメイ
ヨシノ)があり、この開花が「開花宣言」になる。大勢の都民が集まって開花宣言を待ちわびた
という。ずいぶん違う陽気に、雪国からみるとうらやましいかぎりである▼この寒さを「寒の戻
り」というのであろうか。似たような表現に「花冷え」がある。「余寒」(よかん)、「春寒」(はるさ
む)ともいう。「花冷え」は桜の花が咲くころの寒さといい、「余寒」「春寒」は立春以降の寒さとも
聞く。だが雪国の季節感では峻別は難しい。そのうえ、旧暦と新暦では概ね1ヶ月もの差があ
る。日本人が習い覚えた季節感に地域の差が重なる。だから表現には戸惑うこともあるのだ
が、それでも梅がほころび椿が咲き始めた▼寒風の中でも気の早い草花たちが春の空気を
敏感に感じている。田起こしも始まる。日は徐々に長くなって、「日永」(ひなが)な春の季節が
すぐそこに来た。本稿が活字になる日には、いまよりも「日永」で「長閑」(のどか)でありますよ
うに▼「長閑さや出支度すれば女客」(素丸)。(とけいそう)




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