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悠久録(過去の悠久録はこちら)
No.838:雛納め

(3月7日分)
ひな祭りも過ぎて、すっかり春の気配である。春一番も吹いた。じきに山野には緑が戻り、梅や
桃が咲き始める▼ひな祭りは桃の節句ともいう。この時は桃の花が欠かせない。ひな段に白
酒と桃の花を飾る。江戸時代からの風習である。約300年続いた徳川政権は五つの節句を
定めた。1月7日(七草の節句)、3月3日(桃の節句)、5月5日(菖蒲の節句)、7月7日(七
夕)、9月9日(菊の節句)である▼ひな壇の初期は、毛氈(もうせん)のうえに人形を並べるだ
けであったという。しかし次第に豪華になる。神が宿る壇を意識し、神を迎えて災厄をはらう。
そして幼子の健やかな成長を願ったのである。ひな飾りは普段見慣れた室内に華やかさを添
え、人々の心に安らぎを与えてきた。そのような均一な文化が育ったのも、平和な歳月のおか
げであろう▼おひな様は様々な思い出を運んでくれる。江戸時代に全国共通の文化や風習に
育った。おかげで長岡市内も賑わった。さりとて、旧暦の3月3日は今の4月初めである。実際
の季節感はずれている。新暦の3月は、桃の花には少し早かったのだろうか。それでもひな祭
りが終えれば、すぐに花見の時期になる。雪国の春は桃、梅、桜が同じ時期に一斉に咲く。そ
のような「三春」が近い▼今頃は、各家庭で雛納めが終わっているであろう。おひな様も来春ま
でお休みである。桃の花も役目を終えたのであろうか。ぼんぼりに照らされた桜並木の下で、
屈託なく過ごす春に心が躍る▼「裏山に少し雪ある雛納め」(野崎ゆり香)。(とけいそう)


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