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No.836:急ぎすぎた栄光、STAP細胞の怪
(2月21日分)

人間には向上心が必要である。それが人を鼓舞する。困難に立ち向かわせ、何事かを達成さ
せる。そうして尊敬と祝福を受ける。だが急ぎ過ぎて端折ってはならないのであって、地道な努
力の継続が欠かせない。それは組織でも個人でも同じことである▼STAP細胞発見の論文を
精査していた理化学研究所(理研)は、不正があったと結論付けた。担当研究員はすでに職場
を去っているが、懲戒解雇相当と判断。その上司は不幸なことに死を選んでいる。華々しい発
見の発表から一転、最悪の事態である▼理研は1916年設立。理事長はノーベル賞を受賞し
た野依良治氏。文部科学省所轄の独立行政法人として科学研究の最先端を担う。それでも新
設の「特定国立研究開発法人」の指定を受けたかったのか。そのために画期的な発見が欲し
かったのだろうか。それがSTAP細胞だったのか▼だが論文はかなり粗雑だった。いくつかの
誤りが指摘され、ついには理研の調査で改ざん、ねつ造の不正が認定された。ものごとは中
途を省略してはならないのであって、事実と事実の間に想像や架空を交えてはならない。つじ
つまを合わせるために、事実を曲げてはならない▼当然のことが守られなかったようである。
急ぎ過ぎた栄光は、危うさを伴っていた。同じような齟齬が無いか、理研の全研究員に過去の
論文を再検証させていると聞く。その数は2万件を超える。どれだけの時間が空費されるの
か。ねつ造の論文は、科学そのものを危うくする▼地道な努力の価値をもう一度確認したい。
(とけいそう)

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