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No.830:イスラム国の暴力


(2月7日分)

イスラム国の暴力で命を絶った若者がいる。その家族の悲しみに慰めの言葉が無い。人は父
母の命を引き継ぎ、そして子らに命を繋いでいく。連綿と繋がる命の連鎖が、今を生きる者に
希望を与え勇気を与える。夢を語り合い何かを残していく。平穏な安らぎは、そのような命の連
鎖から生まれるのだろう▼だからその連鎖が突如として断ち切られる時、哀しみと絶望、怒り
は限り無い。弊紙で連載した『長岡築城物語』に登場する草間姉弟の人物像は魅力的であ
る。父親は栖吉城主本庄慶俊。上杉家の跡目争い「お館の乱」で景虎側について城は落城、
自らは自刃して果てた。慶俊は落城にあたり家臣の草間某に2人の子を託す▼この2人が草
間姓を名乗り小説の主人公になる。全編を通じて大変愉快であるが、草間某の子孫は連綿と
して今に繋がっている。そのことが感動的である。幕藩時代の草間家は長岡藩の検断役を務
め、千蔵院(柏町)に京都の仏師鶴屋四郎作の千手観音木像を寄進している。ここから同木
像は「草間観音」とも呼ばれるようになった▼草間家の本家筋では同木で制作の般若の面を
今も大切に守っている。さらに慶俊から受け継いだ上杉謙信の軍扇と景虎の御判がある。同
家に伝わる古文書は「草間家古文書」として長岡市の有形文化財の指定を受けた▼長い歳月
の中で失われるものは多い。なかでも人の命はいつか失われる。だが、その歳月に連綿とし
て守り伝える命もある。思わぬ災厄は哀しみをいっそう際立てるにしても、今を生きる者の役
割は変わるものでは無い。(社主)

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