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悠久録(過去の悠久録はこちら)
No.809:疎開50年を記念した与板小学校の柿の木

柿がたわわに実っている。青空に柿の赤が染み入って美しい。昔は歓迎された柿も今はさほ
どではないのか。いつまでも赤い実が梢にあって、晩秋の青空に映えている。もうすぐ柿の葉
も紅葉するのだろう。柿紅葉(柿もみじ)の風情も近い▼与板小学校で柿の収穫が行われた。
205個も収穫できたと児童たちは歓声を上げていた。その柿の木は、太平洋戦争時に東京都
葛飾区堀切からの疎開児童たちが、疎開50年を記念して寄贈したものという。大人になった当
時の疎開児童からの寄贈は、大変良くしてくれた与板への懐かしさと感謝を込めたものである
▼当時葛飾区からは4762人が県内に疎開した。この内与板は三島、出雲崎と協力して児童
ら193人を受け入れたという。親元を離れた生活はきっと寂しかったに違いない。つらかった
ことだろう。だが50年の歳月は良い思い出に昇華したのか。当時、与板町産業課長だった
佐々木昭一さんが交流に尽力してきた。▼平成6年の「広報よいた」(11月号)には当時の疎
開児童だった原澤某さんの一文が載っている。そこには「堀切を立ち上与板駅に下りたったと
き、沿道に町の方々が大勢並ばれ、大きな拍手をもって迎えていただいたことが印象的で、子
ども心に何とも言えぬぬくもりを感じた」とし、都内とは異なる豊かな自然に育まれたことを感謝
している▼50年の節目に交流会を開き柿の木を送った疎開児童の心には、当時の与板の暖
かさ、優しさが満ちている。きっと、あの時も柿がたわわに実っていたに違いない。(とけいそ
う)


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