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悠久録(過去の悠久録はこちら)
No.807:中村修二さん

(10月21日分)

中村修二さんは1988年LED研究のため米国へ留学した。当時勤務していた日亜化学工業
梶i徳島県阿南市)から派遣されての留学だった。自らの申請に、社長小川信雄氏(当時・故
人)が応えてくれた▼だが、米国では学位と論文の有無を問われる。何も無いと答えると、仲
間に入れてくれない。学位や論文が無い研究者は努力しない者であり、ただの技術屋にすぎ
ないとされたのである。中村さんは「コンチクショー」と思う。そして青色LEDを猛烈に研究する
▼安定した青色のためには窒化ガリウムの結晶が良い。だがどうやって作るのだ。24時間そ
ればかりを考え、試行錯誤をした。そして遂に完成し、論文化した。特許を取った。この特許を
会社に残したまま99年、米国からの誘いを受けて渡米。今では米国籍まで取得した▼中村さ
んが去った後の同社は、青色LEDで世界を席巻する。資本金は500億円に迫り、従業員は
約8000人。大企業に成長した。だがその青色LEDを製造しているのは、中村さんが残した
製造装置(コンピューター)である。中村さんの論文とスケッチだけではだれも創れないという。
今、中村さんは紫色LEDの普及に取り組んでいる▼徳島大学卒のごく普通の技術者は「コン
チクショー」の気概をもって研究した。そのために24時間を使った。96年には「仁科記念賞」「大
河内記念賞」を受章。この度はノーベル賞である。凄まじい努力がある▼その努力が中村さん
のノーベル賞に繋がったとすれば、努力の価値はいかにも大きい。(とけいそう)

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