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悠久録(過去の悠久録はこちら)
No.800:イノシシの肉はまるでボタンの花のよう
(9月23日分)

イノシシの肉はまるでボタンの花のようである。だからボタン肉とも言う。ときどき人里近くに出
てきて騒ぎになるが、これは稀である。通常は人と出会うことは無い。その一方で、生まれたて
の子どもには縞模様があってかわいい。ウリ坊といい人気になった。かわいくて食するのを忘
れてしまう▼ボタン肉に対してサクラ肉と言えば馬肉である。ついでに言えばモミジ肉はシカ肉
のこと。「奥山にモミジ踏み分けなくシカの/声聞くときぞ秋は悲しき」(猿丸太夫・百人一首5
番)から来たという。殺傷として肉食を控えてきた日本人は、こうした隠語で肉食を愉しんだの
だろうか。だからボタンとし、サクラ、モミジとしたのだろうか。子どももウリにして、実際はその
味を愉しんだのか▼最近はシカが増えすぎたためか駆除したシカをレストランで提供する地域
が出てきた。シカ料理のレシピが普及し、評判になっている。自然保護の専門家に聞くと、この
ように流通の手段を確保することが、資源の適正な保護に繋がるとのこと。野生動物が食肉
になるのであれば、駆除のコストを軽減できる。増えすぎた野生への対応には、このような知
恵も必要になる▼国際的課題になっているのがクジラである。保護のためには駆除が必要で
あるとして、日本は調査捕鯨を続けている。しかし国際捕鯨委員会(IWC)の賛同は得られな
い。捕まえたクジラを食肉市場に回し、日本の食文化を守りたいとするのであるが、豪州の環
境相は殺さないで調査すべきという。食文化の維持も苦労が多い。(とけいそう)


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