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悠久録(過去の悠久録はこちら)
No.794:ガガの花魁下駄と舘鼻則孝氏
(8月26日分)

江戸時代で美人といえば花魁(おいらん)である。独特の所作で艶やかに歩いた。その下駄は
高さが30aから40aもあって歩きにくく、しかも転ぶ危険が高かった。だからバランスをとりな
がら慎重に歩いたことが、さらに艶やかさを演出した▼花魁愛用の下駄(花魁下駄という)をモ
チーフに舘鼻則孝氏(たてはなのりたけ・29)が靴をデザインした。高さが20aの厚底シューズ
でかかとが無い。東京芸術大学美術部工芸科の卒業制作だったが、大学では全く評価されな
かったという。この自信作を何とかしたい。そこで作品の可能性を信じた当時24歳の若者は、
靴の写真に自分のプロフイールを添えて世界中に売り込みのメールを送る。靴のブランドや雑
誌社宛てである▼100通以上のメールに返事は3通。その一つが歌手レディ・ガガだった。1
週間後に来日予定のガガは斬新なデザインを求めていた。オーダーは唐突で納期は短い。そ
してガガは舘鼻氏のシューズを履いて『ミュージックステーション』に立ったという。以来舘鼻氏
はガガのために靴を造り続け、その道で名を馳せていく▼見向きもされなかったデザインに注
目したガガの感性は鋭い。全世界でアルバムが2600万枚以上売れているのは、そのような
感性に若者が共鳴するからだろう。東日本大震災の時は率先して来日。多くのアーティストが
来日をキャンセルしたなかで異色の行動だった。復興のために3億円もの寄付もした▼「伝統
は革新によって維持される」という。若者には、可能性が満ちている。(とけいそう)

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