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悠久録(過去の悠久録はこちら)
長岡新聞悠久録No.1112:春は出会いと別離の時

(3月27日分)

3月も残りわずかになった。いつものことながら3月は卒業、入学に進学、就職と悲喜こもご
も、人生の喜びと哀歓を運んでくる。春は出会いと別離の時である。「春の川を隔てて男女か
な」(夏目漱石)など、今の時期は、多くのドラマが生まれているのだろう。「さまざまのもの流れ
けり春の川」(二柳)▼とはいえ先週は寒かった。時ならぬ冷え冷えした陽気に、春分の日(3
月21日)は寒い中での墓参りだった。大雪が収まり、好天が続いていたのであるが、タイヤ交
換を行った車は難渋したことだろう。このような寒さを「花冷」(はなびえ)という。ほころびかけ
た桜もいっとき立ち止まって、蕾が再び固くなる▼3月は三寒四温のとき。合間には強い南寄
りの風が吹く。「春一番」である。これをきっかけに木々の芽がほころび始めるのであるが、風
の力は凄まじい。それが過ぎれば春が始まる。「春一番吹き抜けしあと畔見ゆる」(進村五
月)。雪に閉じ込められた季節がようやく終わって輝きが来た▼すぐに4月である。進学や就職
のシーズンに様々な思いが去来する。定年で職場を離れる人も少なくない。思いがかなった
人、意外な蹉跌に愕然とする人。人生の岐路にいずれをとるか悩む人。春の陽気には残酷さ
も潜んでいる。それでも移ろう匂は変わらない▼挫折の日に「ぼた餅」を買ってきた父がいた。
あの味はずいぶん遠くなったが、今も「ぼた餅」は消えることなく店頭に並ぶ。「落第の子に誰
よりも父やさし」(田崎賜恵)と詠うとき、春はいつも心に沁みる。(とけいそう)


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