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悠久録(過去の悠久録はこちら)
No.1089:「西洋芸術の本質は視覚化すること」
12月12日掲載

旧制長岡中学校卒業で文化勲章受章者の堀口大學(1892〜1981)の展覧会が市立中央
図書館と県立近代美術館の双方であり、美麗な装丁の豪華本が並んでいた▼大學の父九萬
一が外交官だったことから、大學は海外生活が長かった。パリの日本公使館でも長く暮らし
た。父の再婚相手がフランス人で家庭内の会話がすべてフランス語だったこともあり、フランス
語が血肉になっていた▼パリ滞在時、大學はひたすら本を買ったという。「詩集ならどんな高価
な限定本でも購入」したと近代美術館の学芸員、平石昌子さんが同展カタログに書いている。
さらに某書店からは創立以来の出版物全部を購入したとも。ヨーロッパの貴族は書物の表紙
に羊皮を使い金箔で飾って、大切にした。大學は文字がもたらす知性とともに、それを形づくる
書物に芸術をみていたのだろう▼父が「こんなに本を買って、全部読めるのか」と訊ねたとき
「いえ、読むのは十冊の内一冊」と応え、「それじゃ無駄じゃないか」の問いには「本は出たとき
に買っておかないと、・・・あとで欲しいと思っても買えませんから」と言ったと、これも平石さん
の紹介である▼パリ滞在で書籍にも美を認めた大學は自らの著作(詩集や翻訳本)を皮表
紙・金箔押しの豪華本で出版し続けた。「西洋芸術の本質は視覚化すること」と捉えたのであ
ろうか。豪華な装丁の書籍は絵画と同じように美しく、燦然と輝いている。まことに美術館の展
示にふさわしかった▼大學のフランス好みは、活字を美術品にまで昇華していた。(とけいそ
う)




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